2022年9月13日
日本アイ・ビー・エム株式会社は9月6日付で、IBM i システム・サブスクリプション・オファリングを発表しました。
発表レターLINK:
https://www.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/2/760/JAJPJG22-0142/index.html
去る2022年5月のIBM i V7.5の発表のタイミングで、4コア・プロセッサー(P05)向けのIBM i OSプロセッサー・ライセンス、ユーザー・ライセンスのサブスクリプションが発表されていました。
発表レターLINK:
https://www.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/7/760/JAJPJP22-0247/index.html
対応OSは、IBM i V7.2からV7.5まで、料金には IBM ソフトウェアのサブスクリプション & サポート (S&S)が含まれ、サブスクリプション期間は1年、2年、3年、4年、5年から選択できるようになっていました。
ただしこの時の発表ではサブスクになるのは、IBM i OSのみで、ハードウェアやOS以外のライセンスソフトウェアは対象外であったため、用途は限定的とみられていました。
今回9月の発表では待望のハードウェア(S1014)とOSのセットのオファリングが発表になったわけです。
今回のシステム・サブスク・モデルで利用可能になったのは、スケールアウトモデルのS10144コア・モデルのみ、メモリーは64GB、800GB NVMe U.2ドライブと 1Gb 4ポート Ethernet アダプターが固定構成で提供されます。ラックマウント型またはタワー型を選択可能で、タワー型は100V電源、ラックマウント型では100Vまたは200V電源が選択可能です。
OSはV7.3、V7.4、V7.5のいずれかが選択可能で、1コア、25ユーザーライセンスがついてきます。初期サブスクリプション期間は 3, 4, 5年で提供され、初期期間終了後は1年毎の更新が可能となっています。
IBM i OS単体のサブスクリプションで提供されていたV7.2(Power10マシンでサポートされていないのである意味当然ですが)、さらにサブスク期間1年、2年のオプションはこのハードウェア込みのオファリングでは提供されないので注意が必要です。
保守関連に目を向けると、元々IBM i OSのライセンス・サブスクはSupport & Subscriptionの形態で提供されていますのでSWMAは料金に含まれていますが、このシステム・サブスク・オファリングではHWMAもExpert Careプレミアム相当のサービス(24×7 の保守サービス、セキュリティ/ヘルス モニタリング、リモート・ファームウェア・アップデート、OS の更新またはアップグレード計画の支援、重大なシステム停止の際のサポート)が含まれています。
このハード込みのサブスク・オファリングではHWは固定構成となりますが、唯一ラックマウント型 4 年サブスクリプションのみ、以下のI/O周りが追加構成可能となっています。
- 2-Port 25/10Gb Ethernet Connectivity (#PWA2)
- 2-Port USB Connectivity (#PWA3)
- SAS Tape/DVD Connectivity (#PWA4)
- Crypto Coprocessor Connectivity (#PWA5)
- 32Gb 2-port Fibre Channel Connectivity (#PWA6)
- 16Gb 4-port Fibre Channel Connectivity (#PWA7)
- Enterprise Big TB SSD PCIe4 NVMe U.2 module for IBM i (#PWS1)
- Enterprise Mid TB SSD PCIe4 NVMe U.2 module for IBM i (#PWS2)
- Backup RDX Media larger (#PWS4)
- Backup RDX Media Mid (#PWS5)
- Backup RDX Media Small (#PWS6)
上述の通り基本構成にはテープ装置他バックアップに利用できる外部メディア(LTO、RDX)がついていませんので、外部媒体が必要な場合には4年モデルを選択する必要があります。
またOSも、5ユーザーライセンス単位の増設、無制限ユーザーの切り替え、追加プロセッサーライセンスなどが追加選択可能になっています。
このサブスク・モデルで注意しなければならない点がいくつかあります。
まず、今回はハードとOSのバンドルモデルが出ましたが、IBM i 関連のライセンスプログラム(Db2 Web Query for i やRational Developer for i )などはサブスク対応しておりません。現在ではかなり多くの機能がOSにバンドルされて提供されていますので、以前から動かしているアプリをそのまま移行する分にはあまり問題はないかもしれませんが、このサブスクモデルでコンパイルをするとかWeb QueryやPowerHAを稼働させる場合には代替手段の検討が必要です。
またサブスク・モデルですので、ハード/OSともにIBMの資産となります。ですので、ISVソフトウェアを稼働させる場合にも注意が必要です。お使いのISVソフトウェアがサブスク対応しているか(PowerVS対応しているソフトであればサブスク対応可能と考えられます)、事前にベンダーへ確認が必要でしょう。
とはいえ、企業の固定資産とならないサブスク・モデル、さらに3年、4年、5年の契約期間中は価格据置(例えば期間中にSWMAの価格改定があったとしても、サブスク契約期間中は影響を受けない)というメリットもあります。 今後、例えばクラウド移行を検討していてオンプレモデルの利用は期間がそう長くないといったケースではサブスク・モデルは非常に有効なのではないでしょうか?