【ARCAD活用術】第1回目のコラムでは、見える化ツールであるARCAD Observer for IBMiについて全般的にご紹介しましたが、今回はその機能にフォーカスしたいと思います。
ARCAD Observer for IBMiは、前回ご紹介したようにオブジェクトベースで情報を収集します。
ビジネスロジック分析ではなく、利用環境における正規オブジェクトの洗い出し、整合性、重複などの現状を把握することが中心となる為です。
古くからIBMiを利用され、開発されている方々は、一つの区画内で開発、検証、本番実装をされることが少なくないでしょう。
IBMiでは、利用ユーザー毎にライブラリリストによって利用環境を設定することが可能な為、このように複数の環境が同じマシンに共存することが容易であり、汎用性に優れています。
しかし、その反面、利用環境の混在が開発、運用時のケアレスミスを引き起こす要因となることもあります。
同一の環境に存在する、同名のプログラム、同名のファイル。これらの情報を収集し整理するには、実行されるオブジェクトを基に情報収集を行うことが最適となります。
収集対象の定義と初期分析
ARCAD Observer for IBMiでは、分析対象となるライブラリを予め登録し、ライブラリ内をクロールして情報を収集、クロスリファレンスと呼ばれる相互関係情報をデータベース化します。
クロスリファレンスに収集される情報には、オブジェクトの作成日や作成元となったソースの情報、ソースライブラリのメンバーであれば、最終変更日なども記録されます。
これらの情報を利用して整合性を検討する為の基礎情報を提供します。
収集した情報からは、同名のオブジェクト、ファイルの存在やオブジェクトの基になったソースが無い、逆にソースはあるけどオブジェクトが存在しない、オブジェクト作成日より後にソースが変更されているなどのリストから、分析対象となったリソースを整理する為のリストを得ることができます。
以下が、取得できるリストとなります。

最終的な『見える化』をする為には、この情報を利用して分析対象の整理をすることが必要です。
このクロスリファレンスは常に最新にしておくことが必要となります。
ARCAD Observer for IBMiでは、GUIから情報収集を行うことも可能ですが、作成したクロスリファレンスをアップデートする為のコマンドも用意されています。
このコマンドを、アプリケーションリリースフェーズや、ジョブスケジュールと組み合わせることで、最新の状態を保つことが出来る為、定期的に実行されるように仕込むようにしておくと良いでしょう。

事前分析が完了し、見える化の対象となるオブジェクトの整理が出来たら、いよいよドキュメントの作成準備が整いました。
次回は、ドキュメント出力について、お話したいと思います。
<著者プロフィール>
中原 順一(なかはら じゅんいち)
IBM i のプログラマ、システムエンジニアを経て三和コムテック株式会社でHAコンサルタント、モダナイゼーション推進を担当。開発者視点、及びソリューションマネージャーとしてDevOpsを中心とした開発、運用環境の改善を日々、お客様へ提案しています。
<会社概要>
企業名:三和コムテック株式会社
本社:〒106-0032
東京都港区六本木3-4-3三和ビル
設立:1991年8月
事業内容:
『ソフトウェアパッケージの開発・輸入・販売およびサポート』、『ソフトウェア、ネットワーク導入コンサルティング』、『ソフトウェア開発』などお客様の『必要』を叶える企業です。
URL:https://www.sct.co.jp/