本記事は「IBM Systems Magazine」の許諾のもと、原文を日本語化するとともに、一部再編集したものとなります。原文をご覧になりたい方は下記よりアクセスしてください。
原文タイトル:
Promoting IBM i—TCO, TCA, Reliability and Strategy
原文著者: Steve Will
2017年9月20日
今年の私のブログのいくつかは、読者がIBM iの価値を自身の組織にアピールするための準備についてをテーマにしてきました。企業においてプラットフォームの見直しをせまる要因についても取り上げていますし、あなたの会社の経営幹部の心の中にあるかもしれない、いくつかの
バズワードと重要課題 を挙げています。そのような重要課題の1つに、組織内でIBM iに従事できる新人たちを採用することがあります。そこで、私は
フレッシュ・フェイス・マーケティング・キャンペーン ※ に注目し、これらの若手技術者たちがIBM iというプラットフォームをいかに推進するかについても検討してきました。IBM iに関する最大の誤解の1つは、最近の新しいワークロードを実行できないというものであり、それを覆すために、私はつい最近も
IBM iアプリケーションとIBM Watson (およびBluemix)の統合について書いています。
※技術者高齢化の歯止めを意図して、IBM iの世界で活躍する若手技術者を紹介するIBMのマーケティングキャンペーンのこと
これらのブログは、読者の置かれている状況に応じて役に立つでしょう。今日は、読者が持っている他の3つのリソースについて論じます。そのうちの2つはごく最近発表されています。
そのリソースとは、Quark + Leptonが書いたアナリストの論文で、中堅企業および大企業におけるPOWER上のIBM iと競合他社との比較です。論文へのリンクは以下のとおりですが、その内容について述べていきます。
これらの論文は、単に情報を伝えているだけでなく、IT管理者、CIO、CTOのために書かれたものでもあるという点で有用です。議論されている話題は本質的にビジネスと財務ですが、IBM iのテクノロジーに関する議論もきちんと含まれています。あなたの組織で、IBM iの利用を推進するための準備をしているならば、これらのアナリストの論文を事前に送付する(または、会社幹部とのミーティング後にこれらを置いてくる)ことであなたのメッセージを確固たるものにできます。では、それはどのようなメッセージでしょうか? 大きなテーマのいくつかを見てみましょう。
TCO(Total Cost of Ownership)
IBM iというプラットフォームにおける統合は、他のシステムよりも常に、かつ容易に管理、保守が可能であることが約束されています。例えば、DB2に組み込まれたヒューリスティック・インテリジェンスは、他のデータベースを使用する場合には時間を費やさざるをえないタスクを自動化してくれます。IBM iセキュリティ・モデルを統合する方法や、Apache Webサーバーのような「追加の」ソフトウェアを提供する方法は、別のプラットフォームで必要とされるよりも少ない作業で済むように設計されています。
「より簡単に」をビジネス用語に翻訳すると、2つのことを意味します。まず、実行コストが低くなります。つまり、TCOが低くなります。そして、誤りが発生しにくくなります。
繰り返しますが、Quark + Leptonの調査によると、IBM iの場合、中堅規模の企業に対する市場において、競合他社と比較してもこのことが言えます。
図1.プラットフォーム毎の3年間のコスト - 全導入事例の平均
この分析で、IBM iのTCOは競合他社よりも60%以上低いことが明らかになりました。 TCOの構成要素のほとんどが競合他社より小さくなっていますが、もっとも明らかなコスト優位性は「人件費」という要素にあります。IBM iプラットフォームは、ほとんどの作業を自社IT部門にて実施しているにも関わらず(HelpSystemsの調査を参照)IBM i専任のスタッフは、一般的に他のプラットフォームをサポートするのに必要なスタッフの人数よりずっと少ないのです。
この分析だけでも、自組織のデータがこの調査の内容と一致していれば、CIOやITエグゼクティブにとって有効な説得材料となりえます。
TCA(Total Cost Acquisition)
3年間のビジネス経費を測定するTCO数値の中で、もう一つの重要な数字はTCA(Total Cost of Acquisition)です。ここでも、Quark + Leptonの調査では興味深い話があります。
図2.プラットフォーム毎の3年間の取得および継続的コスト - 全導入事例の平均
この図では、青色はビジネスを行うためにプラットフォームの取得に費やさなければならない金額を表しています(ビジネスは単一プラットフォームで実行すると仮定)。
複数の異なるワークロードを処理し、単一のOSインスタンスでより多くの主要なビジネス・プロセスを実行するIBM iの能力は、サーバーの所有台数を減らし、ソフトウェア・ライセンスの購入数を減らすことができます。確かに、IBM iのライセンスを1つ搭載した1台のPower Systemは、1つのLinuxライセンスを持つ単一のx86ベースのシステムよりもコストがかかる可能性があります。しかし、ERP、CRM、Web、および業界向けにカスタマイズされたアプリケーションを含む全ビジネス・アプリケーションを、単一のIBM iプラットフォーム上で実行できるのです。別のプラットフォームで同じ数のワークロードをこなすには、もっと多くのハードウェアとソフトウェアのライセンス、そして必要な相互運用を管理するためのネットワークが欠かせないでしょう。
繰り返しますが、経営幹部がIT組織の運営状況を把握しようとする場合、システムの単体コストに目を奪われずに、自社のワークロードに関連する合算コストに目を向けることができれば、多くの場合、このメッセージは実証されます。
低コストのダウンタイムという信頼性
多くのIBM iのIT管理者たちは、組織内で「絶対に停止しないコンピュータ」を動かしているように見られています。それは素晴らしいことです。これはTCOの低さのもう一つの要因ですが、数年前までは信頼性が最終的な収益に何をもたらすかを定量化する良い方法がありませんでした。 Quark + Leptonの調査から得られた次のグラフは、まさにそれを行うのに役立ちます。
図3.3年間のダウンタイム・コスト - 全導入事例の平均
私たちは、お客様のダウンタイムがゼロになることを常に希望していますが、一部のお客様では計画外のダウンタイムが実際に発生することを認識しています。また、IPL、ハードウェアのインストール、そしてときにはPTF適用のための計画的なダウンタイムも考慮に入れる必要があります。したがって、IBM iのお客様は平均して3年間の内に何回かのダウンタイムを経験することになります。
しかし、このグラフが示しているように、競合他社のプラットフォームを導入している企業においては、IBM i の3〜4倍のダウンタイムがあり、それにより費用がかさむのです。ここでもまた、事業経営のコストはIBM iの方が低くなっています。
IBM iのこの価値を強調すれば、経営幹部が別のプラットフォームに移行することを検討していたとしても思い止まることでしょう。
セキュリティと完全性 ― アーキテクチャでサポート
私が、Quark + Leptonの調査から述べる最後のポイントは、次の表のデータソースに関する重要なことです。
表1.OSの脆弱性データの比較 - 2008年1月から2017年3月まで
このデータは、米国国立標準技術研究所(NIST)のコンピュータセキュリティ部門に報告されたオペレーティングシステムの脆弱性を示しています。米国政府のこの組織は、OSのユーザーが影響を受けるであろう脆弱性について報告しています。
IBM iは、他のOSに見られる種類の脆弱性を、IBM iアーキテクチャの本質によって防いでいます。実際、私が今年担当したセッションでは、IBM iの本質的なセキュリティと完全性、そしてAS / 400が市場に導入されて以来、何年にもわたって改善してきた様々な方法について話す機会がありました。
多くのITエグゼクティブは、OSがビジネスのデータや操作において、ウイルスやトロイの木馬の脅威に晒す可能性が2桁低いことに非常に高い価値を置いていますが、彼らはこの表を見て、IBM iアーキテクチャのキーとなる特徴を知るべきだと思います。プラットフォームをウィルスなどの脅威から守ろうとするならば、この資料を上司に見せることは非常に有益です。
IBM iの戦略とロードマップホワイトペーパー
冒頭で、私は3つのリソースがあると言いました。上記の2つの文書の他に、最新の「IBM i 戦略とロードマップホワイトペーパー」で準備を固めるべきです。 このブログの公開時点での最新版は
こちら にあります。 私たちはこのホワイトペーパーを更新し続けていますので(18-24ヶ月ごと)、2017年10月以降にこのブログをお読みいただいている場合は、
ibm.com 上の IBM iのWebページを確認し、最新の「IBM i戦略およびロードマップホワイトペーパー」がないか調べてみてください。
最初にこのブログのシリーズを開始したとき、経営幹部が自社のインフラストラクチャーにおけるIBM iの地位を見直しているためにパニックに陥っているIBM i のITスタッフに頻繁にお会いすると述べました。私がこれまで「IBM Systems Magazine」に寄稿した記事は、パニック解消の助けになるはずだと信じています。情報を入手して、他にも何があるかを確かめてみてください。準備をすれば、あなたは自分の価値とIBM iの価値をビジネスに活かすベストポジションにいるのです。