本記事は「IBM Systems Magazine」の許諾のもと、原文を日本語化するとともに、一部再編集したものとなります。原文をご覧になりたい方は下記よりアクセスしてください。
原文タイトル:
Announcing IBM i 7.3 TR3 and IBM i 7.2 TR7
原文著者: Steve Will
2017年10月3日
本日、IBMは、IBM i 7.3 TR3とIBM i 7.2 TR7の2つの最新リリースについて、最新のテクノロジー・リフレッシュ(以下、TR)を発表しました。 長年の読者の方はご存知のように、IBM i戦略の一環として年に2回新機能が提供されています。これにより、IBM i OSおよび関連製品の多くの機能が、メジャー・リリースの狭間で発生するお客様からのご要望を満たせるようになります。
これまでずっと、IBM iチームはお客様の声に耳を傾け、お客様のビジネス課題の解決策を技術の中に取り入れてきました。 基本戦略として、TRをできるかぎり第一に提供していますし、開発チームは、私たちが持つさまざまな諮問委員会あるいは機能強化要求(RFE: Request For Enhancements)を通じて寄せられるお客様からの新しいご要望に常に気を配っています。 今回の2つのTRも、いつものようにIBM iのさまざまなコンポーネントによって提供される新しい機能を含んでいます。
このブログでは、それらの概要について述べます。詳細については、developerWorksを参照してください。
http://www.ibm.com/developerworks/ibmi/techupdates/i73-TR3
https://www.ibm.com/developerworks/ibmi/techupdates/i72-TR7
IBM i用DB2の機能拡張
いつものように、DB2には多くの新機能が追加されています。それらは、新しく高度なSQL機能と、SQLを使用してIBM iオペレーティング・システムの詳細にアクセスする機能に焦点を当てています。また、DB2 for iはデータセントリックなJSONソリューションのための新機能を提供しており、IBM iの履歴ログとセキュリティ監査の詳細データをSIEMソリューションで利用することができます。
ハイライト:
- JSONパブリッシング関数は、データベース・アプリケーション開発者がDB2 for i リレーショナルデータからJSONオブジェクトを構築するために使用できます。この標準に準拠した機能により、データベース・アプリケーション開発者はクエリエンジンを活用してJSONを効率的に構築できます。
- SQLプログラマーは、JSONスカラー関数を使用してJSONオブジェクトを効率的に処理できます。これらの関数は、プログラムでJSONを細かく分解する技法として、既存のJSON_TABLE関数に追加されます。
- HISTORY_LOG_INFO表関数は、IBM履歴ログの詳細をSyslog形式で返すオプションを含むように拡張されています。
- DISPLAY_JOURNAL表関数は、IBM i監査ジャーナル項目タイプのサブセットをSyslog形式で返すオプションを含むように拡張されています。
これらおよびその他の拡張機能は、DB2 のグループPTF SF99703で提供されます。
新しいUSBインストールプロセス
IBM iは、使用可能なUSB 3.0アダプタに接続できる大容量メモリ――例えばUSBフラッシュ・ドライブ――にコピーされた仮想メディアを使用して、ソフトウェア・インストールを行うという新しい方法を導入しています。ESSのウェブサイトは、USBフラッシュ・ドライブで使用するために、特別にフォーマットされたLIC媒体イメージを提供します。これは、現在利用可能なDVD媒体イメージに加えて提供されるもので、これに代わるものではありません。IBM iは、管理対象システム上においてDモードIPLが可能な形式で、このLIC媒体イメージをUSBフラッシュ・ドライブにコピーするプログラムを提供します。
詳細については、先に述べたTRの概要の
ホームページを参照してください。
4767暗号コプロセッサーのサポート
IBM iは、4767暗号コプロセッサーのサポートを発表しています。 今年初めに発表された4767は、4765暗号コプロセッサーの後継アダプタです。これは、現在お客様がお使いのセキュリティレベルを維持しながら、従来の4765よりも大幅にパフォーマンスを改善しています。 4767アダプタは、安全な暗号化マスター鍵ストレージに使用できる最も安全な物理アダプタはもとより、更新された共通暗号アーキテクチャ(CCA:Common Cryptographic Architecture)APIへのアクセス、SSL / TLSハンドシェークの自動CPU負荷軽減機能も提供します。
CCAライブラリはCCA 5.3に更新され、API拡張機能が追加されています。これらは、以前の4765アダプタでも使用できます。4767アダプタに関する主な変更点には、複数の新しいPIN処理用API、ポイントツーポイント暗号化を備えたDKならびにVisa データ・セキュア・プラットフォーム向けの金融サービスサポート、そしてセキュリティ、アクセス、ログオン制御の強化などがあります。
IBM iのオープンソース
IBM iオープンソースチームは、TR毎よりも頻繁に新しい機能を提供してきていますが、このTRの発表によってこれらの新しい機能を際立たせることができます。
Nginx:
人気のあるオープンソースのWebサーバーであるNginxは、IBM iオープンソース・ソリューション製品のオプション11として提供されています。 より一般的な情報については、Jesse Gorzinskiのブログ “
A Tale of Two Web Servers”を参照してください。もちろん、developerWorksコミュニティーの公開wikisがあります。
Eclipse Orion:
Eclipse Orionは、gitとIBM Bluemixの豊かな統合が特徴のクラウドを基盤とするIDEです。これは、5733-OPSのオプション8として出荷されており、今回のTRでバージョン13に更新され、インターフェースと安定性が改善されています。また、Node.js、Python、HTML、CSS、Bash、CoffeeScript、JSON、Less、Properties、SQLなどを含むより多くの言語をサポートしています。
さらに!
これは発表の注目すべき領域のほんの一部ですが、お客様の状況によっては、その他のIBM i 7.3 TR3機能に関するリストの中に重要なものがあるかもしれません。
- IBM iSave System(SAVSYS)操作に、LANコンソール構成データが含まれるようになりました。バックアップから新しいロード・ソースにIBM iパーティションを再インストールする際、以前は必要とされた複雑な手順がいくつか省かれました
- IBM iは、外部記憶ディスクのサイズの増加をサポートします
- IBM iは、仮想および物理の両方のファイバー・チャネル・ポートで最大127個のデバイスをサポートできます
- IBM i統合Webサービスには、運用管理者とプログラマーが安全かつ確実にAPIを活用するのを支援する高度な機能が追加されています
- IBMは、オープンソース・ライセンス・プログラムで利用できる一連の機能を引き続き拡張し、多くのアプリケーション・シナリオに対応します。これには、オペレーティング・システム、お馴染みのIBM i Accessツール、IBM Bluemixとの新しい統合が含まれます
- Access Clientソリューションは、IBM iユーザー・コミュニティのニーズを満たすために引き続き強化されます
- Rational Development StudioのRPG ILEコンパイラーが更新され、新しいモダナイゼーション機能が加えられました
- Rational Developer for i V9.6は、プログラマーの生産性を向上させる機能に加えて、Eclipseワークベンチの最新バージョンを提供します。IBM Cloud Storage Solutions for i V1.2には、新しい暗号化手法が組み込まれており、データ移動のセキュリティが強化されています
- DB2 Web Query for iには、多くの新しい機能を備えたー先進的な視覚化、使いやすさ、セキュリティ機能―バージョン2.2.1があります
- DB2 Web Query DataMigratorには、シンプルな関数、正規表現のサポートおよびスケジューリング機能の改善が含まれています
発表された機能のほとんどは、2017年10月27日に利用可能になりますが、DB2 Web Query の利用可能日は2017年12月8日になります。